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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》「永代供養ビジネス」の闇

乱立「ビル型墓地」の真っ暗な末路

2017年3月号

 雨後のタケノコのように、と言ったら、仏様がお怒りになり、罰が当たるだろうか。そんな例えを想起させるほど、東京都心から感染したかのごとく、ある特殊なビルが増殖している。住居ともオフィスともつかない意匠。その正体は「納骨堂」という名のビル型の墓地である。「忙しい貴方も仕事帰りにいつでもご先祖さまを供養」「天候にも左右されずにお墓参り」「格安で永代供養」……。ネットやテレビCM、活字広告にはメリットがこれでもかと並ぶ。ところが、その美辞麗句とは裏腹に、この納骨堂ビルを舞台とする永代供養ビジネスは宗教を忘れた住職の拝金主義と、そこに乗じて暴利をむさぼるコンサルティング会社やデベロッパーの底なしの欲心にまみれている。この栄華の本質は一攫千金の典型的な「売り切りビジネス」であり、ビル型墓地は近未来、遺骨の溢れかえる廃墟ビルに化ける危険性が高いのだ。
 納骨堂ビルの数は地方の過疎化、少子高齢化と連動して右肩上がりのカーブを描く。東京全体で二〇〇〇年度の二百八十七カ所から一四年度には三百八十七カ所へ急増。この大半が都心部で造られた。同じ期間、一般墓地が九千七百八・・・