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社会・文化

「豊洲汚染地」東京ガスの丸儲け

都庁と「密約」高値売り抜けの悪辣

2017年3月号

 東京ガスは果たして善意の土地提供者だったのか—。
 東ガスの関係者は豊洲問題が蒸し返されることについて「いい迷惑だ」と吐き捨てる。
「東京都と密約を交わしたなどとまことしやかに囁かれているが、基本的にこちらは土地を“召し上げられた”側だ」
 築地市場の移転先である豊洲の用地取得を巡って、交渉当時の知事である石原慎太郎や副知事、浜渦武生だけでなく、退職した都職員の責任を問う声が上がっている。ヒ素やベンゼンで汚染された土地を、公金を使って買い上げ、除染費用をも負担した彼らの責任の重大性については既に報じられている通りだ。しかし、東ガスについては指弾する声がほとんど聞こえてこない。
 同社は豊洲を自ら再開発するつもりであり、築地市場の代替地として都側に売る意図はなかったと言い張るが、説明そのものが極めて怪しい。東京都との交渉過程をつぶさに観察すると、巧みに汚染地を売りつけたばかりか、除染にかかる費用を免れ、丸儲けした東ガスの強欲ぶりが浮かび上がる。

秘密交渉から生まれた覚書・・・