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社会・文化

東欧への「医学部留学」がブーム

割安でEUや「日本の医者」になる道

2017年3月号

 かつては一生安泰と言われた都市銀行の合併、最近では東芝の瓦解……。この先行き不透明な時代にあって「わが子を医師に」と願う親は少なくない。公認会計士や税理士の仕事はパソコンソフトに奪われ、弁護士と人工知能(AI)がマンパワーと手間暇のかかる判例精査や訴訟対策を瞬時に代行する。いまや医師の資格だけが将来を保証するパスポートとの信仰は強まるばかりだ。自ずと医学部進学は狭き門になり、地方の国公立大医学部の偏差値はどこも東京大学理科一類レベル。その昔、裏金を積めば……と噂された私大医学部すら軒並み難関と化し、六年間の授業料も大半が三千万円を下らない。そんな状況で、どうしても医師になりたい若者の裏技が存在する。それは遥か東欧への「医学部留学」—。ブローカーまで出現したブームの内実を探る。

約三百七十人も籍を置く

 一般的に日本人の海外留学と言えば、米国や西欧が想起されるが、医師志望者の視線は異なる。彼らが重視するのは、入試のハードルが低くコストも割安な・・・