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経済

《経営者東京裁判》榊原定征(経団連会長)

いまや「ピエロ」の財界総理

2017年3月号

 よくよく舐められたものである。会長の榊原定征(東レ相談役最高顧問)が二月六日、自ら発表した次期経団連副会長人事。二期四年の任期満了で退任する友野宏(新日鐵住金相談役)、内山田竹志(トヨタ自動車会長)の両副会長に代えて新たに進藤孝生、山内隆司、山西健一郎と早川茂の四氏を起用するというものだが、進藤、山内、山西がそれぞれ出身母体である新日鐵住金、大成建設、三菱電機の社長、会長といった肩書を持つのに対し、早川のそれはトヨタの取締役専務役員に過ぎない。まるで「軽量級のトップの下に送り込む人材は軽量級で十分」とでも言わんばかりではないか。
 ルールも半ば公然と無視された。経団連の内規では副会長への就任が認められるのは、自社の社長や会長、副会長の経験者に限られるとされているからだ。そりゃそうだろう。財界活動に携われば、時として財界側の提言や意見が出身企業の立場や利害と食い違ったりする局面もなしとしない。それを敢えて押し切って「財界の総意」として取りまとめるには、出身企業に対してもある程度にらみをきかせられる人物でなければつとまるまい。
 トヨタでは同日、「本来なら私が(副会長・・・