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経済

危ない活況「トランプ相場」

「逆回転」の始まりは早そう

2017年3月号

 推定個人資産は百六十六億ドル。投資家カール・アイカーンといえば、米ウォール街の「顔」である。
 一九三六年生まれの金儲け一筋。その名が全米で知られるようになったのは八〇年代にかけてのことだ。航空会社や鉄鋼会社などの経営不振会社を次々と買収し、事業をバラバラに解体しては売り払うハゲタカ商売で稼いだ。
 株主になると、大企業でも躊躇なく経営介入する。スマートフォンの米アップルに「配当を出せ」「自社株買いをせよ」と揺さぶりをかけたのは有名な話だ。しゃがれ声で偉丈夫という強面の外見も合わさって、米国民はアイカーンを「乗っ取り屋」と恐れる。
 アイカーンは最近、「数年に一度あるかないか」の投資機会に遭遇した。昨年十一月八日、米大統領選の投票日当日である。
 夕刻時、アイカーンがニューヨークの摩天楼を見下ろすペントハウスに帰ると、部下が報告してきた。「真っ逆さまに落ちています」。
 夜間市場で株式先物が売りを浴びていたのだ。代表的な株式先物のダウ工業株三十種平均先物が瞬間風速で三%安まで下げる急落劇だった。
 理由は、テレビ中継で続々と・・・