自動車業界「トランプ危機」の行方
米国産日本車「逆輸入」の禁じ手も
2017年3月号
トランプ米大統領による日本の自動車メーカー叩きは、トヨタ自動車のメキシコ新工場建設への批判から米国における生産強化、日本の米国車輸入拡大へと確実にステップを上げてきている。その過激さは日米貿易摩擦がピークに達した一九八〇年代のレーガン政権下の対日要求をはるかに上回る。この動きは米国の自動車産業での雇用回復、輸出拡大など目に見える成果が出なければ終息しないだろう。トヨタ、ホンダなど日本メーカーに残されたのは、米国産日本車の「日本逆輸入」という禁じ手ぐらいしかない。
「アメ車好きにはウケる可能性」
「八〇年代に対米自動車交渉に関わったOBに久しぶりに会ったよ」。トヨタ関係者のひとりはこう漏らす。二月初めのことだ。トランプ大統領の自動車保護主義がさらに勢いを増すなかで、今後の展開と対応のヒントが八〇年代にあると読んだからだ。
振り返れば八〇年代、米国の貿易赤字のおよそ六割が対日赤字でその多くを日本の対米自動車輸出が占めていた。八六年の逆オイルショック前はガソリン価格が高く、燃費のいい日本車は米国市場で・・・
「アメ車好きにはウケる可能性」
「八〇年代に対米自動車交渉に関わったOBに久しぶりに会ったよ」。トヨタ関係者のひとりはこう漏らす。二月初めのことだ。トランプ大統領の自動車保護主義がさらに勢いを増すなかで、今後の展開と対応のヒントが八〇年代にあると読んだからだ。
振り返れば八〇年代、米国の貿易赤字のおよそ六割が対日赤字でその多くを日本の対米自動車輸出が占めていた。八六年の逆オイルショック前はガソリン価格が高く、燃費のいい日本車は米国市場で・・・