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見えてきた米国の「行く末」

トランプ時代は「衰退」へと向かう

2017年2月号特別リポート

「外交は水際まで」を大切にしたのはハリー・S・トルーマン米大統領だったが、ドナルド・トランプ大統領は国内の世論分裂を平気で図っている。一月二十日に米国の新指導者は就任演説で、ワシントンに集まる特権階級から権力を市民に取り戻したと、さながらマルクスの階級史観のようなスピーチをしたうえで、国民に団結を訴えた。「ワシントンから権力を移行させ、国民に返す」という。権力を奪われた側は容易に恨みを忘れまい。国内で世論を統一せずに政策はうまく推進できると信じているのだろうか。
 巨大な矛盾に満ちた内政、外交の中で、とりわけ心配なのは外交である。就任演説を読んだうえで書かれた米ウォール・ストリート・ジャーナル紙社説「トランプの厚かましさ」は、「彼の大統領任期で最も困った事態は外交問題だ。この分野で彼は衝動は持っているが、経験はなく、一時的な発言をしようとする傾向には、はらはらさせられる。オバマ前大統領は友好諸国の犠牲の下に敵対国と仲良くしようとして友好諸国を心配させた一時期もあった。トランプ大統領は、自分が唱えている『米国第一』のスローガンが米国の後退と同じことを意味する別の政治的表現ではな・・・