ヒラリーへ、トランプへ、オバマへ、プーチンへと、こけつまろびつ座敷犬のように駆け回る我らが宰相の外交の真髄は、「地球を俯瞰する外交」だそうだが、座敷犬に俯瞰などできるのか。
　年明け、さっそく東南アジアから豪州歴訪に出かけて行ったが、外遊ごとにあちらこちらへ、ただ金をばらまいているだけのように見受けられる。
「フォーブス」という何かにつけて序列づけが好きな雑誌がある。その「世界で最も影響力のある人物」ランキングによれば、一位にプーチン、二位はトランプ、三位がメルケルで四位は習近平。安倍は三十七位で、日本人ではトヨタ自動車の豊田章男が二十九位と安倍より上にいる。
　悦に入っているのは当人ばかりのようである。金のみでは尊敬されないのは国家も個人も同じだ。
　旧臘安倍はハワイの真珠湾に赴いた。「慰霊」という言葉を頻発して、「謝罪」ではないとしきりに強調したが、やはりあれは、一九四一年十二月、日本が奇襲をかけて対米戦争を始めたことを、七十五年後になって頭を下げに行ったのだと誰もが思っている。評論家の山崎正和が朝日新聞に聞かれて「真珠湾訪問は、日本国外務・・・