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連載

皇室の風102

元日即位も悪くない
岩井克己

2017年2月号

 奈良文化財研究所が昨年秋、橿原市高殿町の藤原宮の大極殿院南門の南側と朝堂院朝庭の北端部の発掘調査で、礫敷き広場に旗竿遺構とみられる大型柱穴群や柱穴列を検出したと発表した。
『続日本紀』に記された大宝元年(七〇一年)の元日朝賀の際に正門に立てられた七本の幢幡を立てた跡の可能性が高いとした。
「大宝元年春正月乙亥の朔、天皇、大極殿に御しまして朝を受けたまふ。その儀、正門に烏形の幢を樹つ。左は日像、青龍・朱雀の幡、右は月像、玄武・百虎の幡なり。蕃夷の使者、左右に陳列す、文物の儀、是に備れり」(『続日本紀』)
 日・月は陰陽を、四神は五行の木・火・金・水を、烏形幢は土を象徴し、陰陽五行の世界観を示し、キトラ古墳や高松塚古墳の壁画とも共通する。
「元日節会」とも呼ばれた「元日朝賀の儀」は大化二年(六四六年)の孝徳天皇の代に初めて行われ、大宝元年には文武天皇が律令国家成立を高らかに宣言する場となった。唐の「大唐開元礼」など中国の元日朝賀の儀にほぼ倣った儀式立てだった。
 また文安元年(一四四四年)に藤原光忠が書写した『文安御即位調度図』や『延喜式・・・