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経済

日銀「ポスト黒田」で浮上する名前

危うさ増す「アベノミクス追認機関」

2017年2月号

「黒田バズーカ」と称される未曽有の金融緩和を大盤振る舞いでみせつけた黒田東彦・日銀体制が、いよいよ終盤に差し掛かった。来年四月八日に任期満了を迎える。残すところ一年二カ月という計算だが、「今年末になれば、次期総裁問題がホットイシューとなってくる」(自民党関係筋)ことは間違いない。いや、水面下では早くも「ポスト黒田」の人選を巡る動きが始まっているのだ。
 黒田・日銀体制が敷かれたのは第二次安倍晋三政権の発足と軌を一にしたものだった。政府との「政策目標の共有」が日銀に言い渡され、それを忠実に実行したのが黒田総裁にほかならない。にもかかわらず、政府と共有した消費者物価指数の上昇率二%の安定的達成は一向に実現の気配がない。
「よほどの神風が吹かない限り、万策尽きて実現できなかったという評価で終わる」
 あるメガバンクの幹部はこのように、この先の目標達成の実現性を否定する。とすれば、「この道しかない」と言い切る安倍政権が今後も継続するという政治情勢のなかでは、ポスト黒田の有資格者は、現状の未曽有の金融緩和政策を踏襲する考えの持ち主ということになる。そこで名前が浮上し・・・