《クローズアップ》山本敏博(電通新社長)
満身創痍「ガリバー」の再生担う
2017年2月号
社員の自殺やネット広告不正問題に揺れる電通。年の瀬に石井直社長が辞任を表明し、一月中旬には常務執行役員だった山本敏博氏の新社長就任が発表された。
石井氏は当初、引責辞任するそぶりは見せていなかった。しかし、「十一月に予定されていた執行役員人事発表は二回も延期になり、通常は同時に発表される取締役人事は年明けに持ち越された」(電通社員)といい、進退は不透明だったようだ。「この間に首相官邸から五輪準備に影響を与えぬように注意された」(同)ことに加え、石井氏本人が労働局の事情聴取を受けるに至り、辞任を決断した。
山本氏は昨年三月から一〇〇%子会社である電通デジタル・ホールディングスの社長に就任しており、本来であれば、ネット広告不正の責任も問われかねない人物。その山本氏を新社長にせざるを得なかったことは、現在の電通が抱える課題を浮き彫りにする。
石井氏の後任を現任の取締役の中から起用するのは難しかったという。「中本祥一副社長は経理畑、高田佳夫専務はテレビ一筋。激変する環境を切り抜けるには無理があった」(同前)。電通の売り上げ構成は変化しており、ネット広告が大・・・
石井氏は当初、引責辞任するそぶりは見せていなかった。しかし、「十一月に予定されていた執行役員人事発表は二回も延期になり、通常は同時に発表される取締役人事は年明けに持ち越された」(電通社員)といい、進退は不透明だったようだ。「この間に首相官邸から五輪準備に影響を与えぬように注意された」(同)ことに加え、石井氏本人が労働局の事情聴取を受けるに至り、辞任を決断した。
山本氏は昨年三月から一〇〇%子会社である電通デジタル・ホールディングスの社長に就任しており、本来であれば、ネット広告不正の責任も問われかねない人物。その山本氏を新社長にせざるを得なかったことは、現在の電通が抱える課題を浮き彫りにする。
石井氏の後任を現任の取締役の中から起用するのは難しかったという。「中本祥一副社長は経理畑、高田佳夫専務はテレビ一筋。激変する環境を切り抜けるには無理があった」(同前)。電通の売り上げ構成は変化しており、ネット広告が大・・・