「亡国の防衛大臣」稲田朋美
この難局で「政策停滞」の深い罪
2017年2月号
安倍晋三首相の庇護の下で「女性初の宰相候補」と根拠なく喧伝され、当選四回にして国防の府を担う重職に就いた女史。そう、弁護士出身にして右派論客とマスコミがもてはやした稲田朋美防衛相である。だが化けの皮は、はがれ落ちる。バカンス風のいでたちでの海外出張、ハイヒールで部隊視察と外見に非難が集中したが、問題の核心はそんな些事の現象面ではない。「聞く耳を持たない」「見ているのは首相の顔色だけ」……。ただでさえ陸海空各自衛隊の権益争い、背広組である内局の介在という八岐大蛇のような役所でこんなトップを頂けば、国民はどんな不利益を被るのか。どこの閣僚よりも統率力が求められる防衛大臣が「お飾り」であるがゆえに、内部で政策が十分に議論、咀嚼されない。その帰結として、バラバラな各組織が競い合い、首相官邸との距離感が政策を左右する歪んだ政治の温床と化す危険なのだ。
「人がどんな服を着ようが勝手でしょ! それをとやかく言うのはセクハラです!」
昨年十月、参院予算委員会。国連平和維持活動(PKO)で南スーダンに派遣されている陸上自衛隊に安全保障関連法・・・