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習近平「権力闘争」の趨勢

急ピッチで進む「自派」の拡大

2017年2月号

 一月中旬、中国の習近平国家主席が、この時とばかりにスイスを訪問した。オバマ大統領の退任演説からトランプ新大統領の就任演説までの十日間、米国に代わって世界第二の大国、中国がつかの間、世界秩序のリーダーを演じた。習近平の目指す「中国の夢」が一瞬だけ実現した。習近平はこの間に、世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)、ジュネーブの国連欧州本部で演説し、世界のトップリーダーとして振る舞い、それをトランプに見せつけた。米中が太平洋を二分するという「新型大国関係」を受け入れるよう迫るかのように。
 ダボス演説で習近平は「グローバリズムと自由貿易システムを守り、保護主義に反対する」と宣言し、米新政権との違いを強調した。同時に「勢力圏は拡大しない」と述べ、南シナ海などでの国際摩擦において、クールダウンの意思があることを示唆した。国連欧州本部では、核兵器廃絶まで主張した。
 演説の内容はご立派だが、市場経済国と認められていない中国が自由貿易の守護神になれるのか。国際法を恣意的に解釈する中国にグローバルルールを作れるのか。核弾頭を増産している中国の核廃絶は本気なのか︱。習・・・