南極「軍事利用」に走る中国とロシア
国際条約「無視」で拠点を増強中
2017年2月号
巨大な潜在資源が眠る南極大陸をめぐり、関係各国の動きが風雲急を告げている。後発だった中国が二〇〇九年以降、ハイペースで観測基地建設に取り組み、イランやトルコも参入を企てる。
南極はまた、衛星通信システムに格好の舞台を提供するため、米国や中国、ロシアが軍事情報の通信基地に多用する懸念も増している。南極の軍事利用や領土主張を禁じた南極条約(一九六一年発効)は、地球温暖化対策も含め、早急に改定が必要な状況になっている。
激しさ増す軍事情報の探査活動
南極への各国の動きに警鐘を鳴らしたのは、南極開発を「戦略問題」と位置付けるオーストラリアだった。昨年四月、ターンブル政権は『向こう二十年間の行動計画』を発表し、オーストラリアが南極で維持してきた「主導的地位」を保ち続けるとの目標を示した。
これに、豪州のシンクタンク「オーストラリア戦略政策研究所」のアンソニー・バーギン副所長は、「シドニー・モーニング・ヘラルド」紙への寄稿で、「このままでは中国に抜かれる危険性がある。しかるべき投資を行って、計・・・
南極はまた、衛星通信システムに格好の舞台を提供するため、米国や中国、ロシアが軍事情報の通信基地に多用する懸念も増している。南極の軍事利用や領土主張を禁じた南極条約(一九六一年発効)は、地球温暖化対策も含め、早急に改定が必要な状況になっている。
激しさ増す軍事情報の探査活動
南極への各国の動きに警鐘を鳴らしたのは、南極開発を「戦略問題」と位置付けるオーストラリアだった。昨年四月、ターンブル政権は『向こう二十年間の行動計画』を発表し、オーストラリアが南極で維持してきた「主導的地位」を保ち続けるとの目標を示した。
これに、豪州のシンクタンク「オーストラリア戦略政策研究所」のアンソニー・バーギン副所長は、「シドニー・モーニング・ヘラルド」紙への寄稿で、「このままでは中国に抜かれる危険性がある。しかるべき投資を行って、計・・・