習近平国家主席の唱える「中国の夢」の実現に向けて、中国は国威発揚プロジェクトを次々と繰り出している。中国の人民元（ＲＭＢ）を世界の準備通貨とする構想もその一つだ。
　二〇〇八年のリーマンショックによって世界経済のドル依存の危うさが露呈した。世界は中国の需要創出を頼りに危機からの脱却を図った。周小川中国人民銀行総裁は、人民元を含む複数準備通貨の必要性を訴えた。
　一一年のＧ20では、ニコラ・サルコジ仏大統領が、世界が金融パワーとしての中国への「敬意」を払う時が来た、と中国を大いに持ち上げた。
「ＳＤＲのバスケットのなかに人民元のような新興国の通貨を含める時が来たのではないのか？　人民元が世界の金融システムで果たしている大きな役割を誰が否定できようか。中国の大きな金融パワーに対する敬意を払う時ではないのか」
　ＳＤＲ（特別引出権）のバスケットを構成する通貨は、米ドル、ユーロ、英ポンド、円の四つ。ここに入ることは実質的に世界の準備通貨として認められることにほかならない。
　一六年秋、中国人民元は晴れて、ＳＤＲバスケットに入った。
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