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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》天皇と安倍の「確執」

「史上最悪」対立続く二人の関係

2017年1月号

 天皇を勝手に退位させない—。口にこそ出さないが、それが首相安倍晋三の本音らしい。内閣官房の退位問題担当の官僚たちは、そう察していた。切々たる「お気持ち」を支持する圧倒的な民意とのずれを、法的・政治的にどのようにすり抜けたらよいか。取り仕切る官房長官菅義偉と官房副長官杉田和博から「知恵を出せ、うまくやれ」とプレッシャーを受けて官僚たちは苦悩していた。
「ご自分で拡大定義された天皇の役割を絶対条件にして、それを果たせないから退位したいというのは、ちょっとおかしいのではないか」。そう傲然と言い放ったのは、東京大学名誉教授平川祐弘。有識者会議のヒアリングに呼ばれ、報道陣に対して口にした。
「天皇の仕事は祈ることで、国民の前に姿を見せなくても任務を怠ることにはならない。(皇室典範改正を)陛下が心配されることはない。首相が陛下を説得すればよろしい」。上智大学名誉教授渡部昇一はヒアリングに対し、ぴしゃりと「お気持ち」を退けた。
 内定していた小田部雄次ら皇室専門学者を却下して、二人を指名したのは安倍だ。どちらも右派政治団体「日本会議」系の論客である。両発言・・・