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経済

《経営者東京裁判》出光昭介(出光興産名誉会長)

晩節汚した「創業家の乱」

2017年1月号

 打開の糸口があるとすれば、それはこの男が抱く「死」への恐怖か、それとも「死」そのものかもしれない。出光昭介—。出光興産名誉会長で創業者・佐三の長男。自身が社長をつとめる資産管理会社の日章興産や、理事長となっている出光文化福祉財団、出光美術館に一族保有分などを合わせると同社株の三三・九二%(議決権ベース)を握る事実上のオーナーだ。
 石油元売り五位、昭和シェル石油との合併問題を巡る出光創業家と社長月岡隆ら現経営陣との対立劇は、昨年末にかけ出光によるロイヤル・ダッチ・シェル保有の昭シェル株三一・三%取得という動きはあったものの、なお袋小路に入り込んだまま越年の時を迎えた。元売り再編の必然性を訴えて合併実現を目指す月岡らに対し、大家族主義や独立自治など佐三の唱えた理念を旗印に、あくまでそれを阻止しようと血道をあげる創業家。だが、その盟主たる昭介も今年七月で卒寿。「恍惚」の域に達する。事情通によるとすでに耳は遠くなり、視力も衰えつつあるという。死の転帰がいつ訪れようとも不思議ではない。
 月岡らが密かに念じているであろうところもそこだ。昨年十月、月岡は昭シェル・・・