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経済

サムスン財閥「空中分解」の憂目

李ファミリー支配に近づく「終幕」

2017年1月号

 朴槿恵大統領の弾劾訴追案可決で混乱の続く韓国でもうひとつ大きな危機が進行している。韓国経済の牽引車であるサムスングループが空中分解するリスクだ。朴大統領の友人の崔順実氏とサムスンの癒着疑惑に加え、発火事故で販売中止となった主力商品「ギャラクシー・ノート7」の打撃が屋台骨を揺さぶっているからだ。テレビ、スマホに加え半導体、有機ELなど主力商品で中国勢に激しい追い上げを受けるサムスンの弱体化は急速に進んでいる。
 崔事件でサムスン電子本社に家宅捜索が入り、李在鎔副会長も特別検察官から出国を禁止されるなか、同社株は二〇一六年十二月に入って史上最高値を更新している。足元の業績はスマホ事故による営業利益の減少分、回収・補償費用が合計で八千億円近くと急激に悪化しているにもかかわらず、株価が高値を追っているのは「持ち株会社化」への期待があるからだ。
 同社は十一月末、持ち株会社の設立、海外上場、株主還元の大幅上積みを検討している、と発表した。持ち株会社と事業会社に分ける経営構造の見直しはサムスンのような幅広い事業を持ち、世界トップクラスの売り上げを誇る製造業としては必然的だ。{・・・