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トランプは台湾を「裏切る」

「併合」の野望に燃える習近平

2017年1月号

 米国に孤立主義のトランプ次期大統領が誕生した。その瞬間、中国の習近平国家主席にスイッチが入った。今こそ台湾併合に踏み込むチャンス到来だ、と。
 台湾は太平洋の西側をふちどる第一列島線の中央に位置している。中国が台湾を制すれば、中国海空軍は太平洋の西半分を支配下に入れることができる。太平洋に覇を唱えるとは、中国の歴代皇帝が考えもしなかったことだ。

米台電話会談の「秘かな調整」

「台湾併合の夢」の序幕が開いたのは二〇一六年十二月二日。トランプ政権移行チームの陣取るニューヨークのトランプタワーに蔡英文・台湾総統から当選祝いの電話がかかってきた。十分余りの儀礼的な挨拶だった。
 だが、次期大統領の地位にいるトランプが「タイワンのプレジデント(総統)が当選を祝う電話をかけてきた」と自らツイートし大騒ぎになった。一九七九年、米国が中国と国交を回復したときに台湾と断交して以来、米国と台湾の間の指導者同士の電話会談は初めてだからだ。「台湾当局者」ではなく「台湾総統」という呼称が使われたのも初めてだ。反響・・・