米メディア界を乗っ取る「新右翼」
トランプ時代の空恐ろしい「報道事情」
2017年1月号
トランプ政権の誕生を間近に控え、米国の大手メディアが大きな岐路に立たされている。
新聞・テレビをバイパスして、ツイッターで独言を吐き続ける次期大統領に、大新聞や全米ネットワークはなすすべを失った。トランプ氏の発言を忠実に追う「オルタナ右翼(新右翼)」のネットメディアが、米国メディアの主流を乗っ取る勢いだ。
一年前には米国外でほとんど無名だった「ブライトバート」。
米国政治に関心を持つ人には、今や不可欠のニュースサイトだ。同サイトの最高経営責任者(CEO)である、スティーブ・バノン氏が昨夏、トランプ陣営に加わって以後、このサイトはトランプ情報満載で一気にアクセス数を増やした。同氏は選挙での勝利後に「首席戦略官兼上級顧問」に指名された。今やどんな情報も、次期大統領が伝えたい時に、流される。
十一月八日の大統領選投開票の夜には、フェイスブック上でブライトバートを追った視聴者は九十二万人。主流メディアのCNNやニューヨーク・タイムズ紙はもちろん、保守系最大手の「フォックス・ニュース」まで上回った。主流メディアが茫然自失する中、「トラ・・・