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WORLD

中東を「山分け」する米国とロシア

イスラエル最優先の「倫理なき新秩序」

2017年1月号

「トランプとプーチンの世界分割」—。
 こんな物騒な言葉が、世界中の外交界でささやかれている。ドナルド・トランプ米次期大統領の安保・外交チームが固まる中で、新政権の優先事項が鮮明になってきたからだ。
 注目の中東政策では、「親イスラエル・反イラン」という二つの軸が固まり、シリアへの軍事介入でプレゼンスを増したロシアとは、互いに「影響圏」を分け合う方向に傾いている。
 次期国務長官に指名されたレックス・ティラーソン「エクソンモービル」会長兼最高経営責任者(CEO)と不動産王トランプ氏のビジネスマン・コンビは、東西冷戦時代のようにロシアと棲み分けをすることで、米権益の拡大を図ることになる。

トランプは「シリア内戦不介入」

 二〇一六年の暮れは、四年または八年に一度やってくる、軍人とスパイの繁忙期だった。
 米国に新大統領が誕生する一月二十日までに、進行中の軍事作戦に一定の区切りをつけておかなければならない。今回は特に、「トランプ前」と「トランプ後」では情勢が激変・・・