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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》診療報酬支払基金

医療費を破綻させる「厚労利権」の牙城

2016年12月号


 高齢化が加速度的に進む日本では二〇六〇年、六十五歳以上の高齢者一人に対して現役世代一・三人で支えるという「肩車社会」が待ち受ける。高齢化率の上昇に比例して、国民医療費も膨張の一途で、一九年に消費税率を一〇%へ引き上げても将来の医療費はとても穴埋めできない。厚生労働省は在宅医療の促進など国民の負担を増やすことで経費を抑制しようと躍起だが、この陰で濡れ手で粟のような「利権の巣窟」に国民の血税が湯水のごとく注がれている。
 それは「社会保険診療報酬支払基金」、通称「支払基金」と呼ばれる特別民間法人で、厚労省と旧社会保険庁の別動隊と化している。医療機関と健康保険組合の間に立って名ばかりの審査を医師会などへ丸投げして、審査料名目で巨費を懐に収めるカラクリだ。その詐取的な組織と集金システムの全容を解明する。
 厚労省によると、一四年度の国民医療費は四十兆八千七十一億円に上り、八年連続で過去最高を更新した。このままでは天井知らずで半永久的に膨張していく。こうした事態に、財務省や厚労省は「もっと大幅に消費税率を引き上げていかなければ、財政破綻は避けられない」と口をそろ・・・