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経済

三菱電機「虚構」の好業績

「経理部支配」で劣化するモラルと技術

2016年12月号

 十一月八日午前、皇居宮殿「松の間」で秋の叙勲の親授式が執り行われた。旭日大綬章を受章した各界の著名人の中に、三菱電機元社長の野間口有・現相談役がいた。野間口氏は二〇〇二年に巨額の最終赤字を垂れ流した直後に、谷口一郎氏の後を継いで社長に就任した人物だ。
 野間口氏の下でV字回復を果たした三菱電機は現在、わが世の春を謳歌している。一六年三月期の連結売上高は四兆四千億円、最終利益は二千二百八十五億円に達した。過去最高益を叩き出した前年度からは微減したものの、日立製作所や東芝を凌駕している。重電三社の中で万年三位と呼ばれたのも今は昔。売上規模こそ二社の後塵を拝しているが、その利益率の高さから、産業界では「優等生」のイメージができている。
 同社の好調ぶりを冷ややかに見つめているのはライバル二社ではなく、同じ三菱グループ各社だ。ある三菱重工業関係者が語る。
「リスクを取らずに利益だけを追求する経営で、生き残っていけるのか。頭打ちが見えている」
 エレベーターや空調設備を世界中で売り歩く三菱電機だが、その内情は極めて保守的だという。利益率にこだわった経営が・・・