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経済

《クローズ・アップ》 村田誉之(大成建設社長)

「博多陥没」醜聞まみれの傀儡社長

2016年12月号

 好事魔多しとはこのことか。東京五輪に向けた建設工事や東北の復興事業が重なりゼネコン各社に順風が吹く中、とりわけ好調だった大成建設がつまずいた。
 十一月八日早朝、福岡・博多駅近くの目抜き通りが突如として陥没した映像は全国に衝撃を与えた。発生から一週間、復旧作業が収束し道路が開通した十五日に、大成の村田誉之社長が福岡市役所で謝罪会見を行った。今回の大規模陥没について「予見することはできなかった」と終始弁明に追われたが、ある大成OBは「傀儡社長の村田氏が謝罪する姿は悲哀に満ちていた」と同情を寄せる。
 村田氏について社内の評判は「可もなく不可もない人物」(同社関係者)という声が最も多い。昨年四月に社長に就任したのは「山内隆司氏(現会長)の意思によるもの。コントロールしやすい村田氏が選ばれた」(同)という。
 山内会長といえば社長時代、前任者が進めた中東を中心とする海外大型プロジェクト(新ドーハ国際空港、ボスポラス海峡トンネルなど)の後始末をつけた経営者。就任当初はスーパーゼネコンの中でも財務体質が最も悪かった。二〇〇八年のリーマン・ショック直後には倒産危機説・・・