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連載

西風 427

万博の背後に「大インフラ整備構想」

2016年12月号

 十一月九日、大阪府の松井一郎知事は二〇二五年の開催を目指す国際博覧会(万博)の基本構想を世耕弘成経済産業相に提出した。博覧会国際事務局(BIE)への立候補は政府が行うことになっており、今後は経産省を中心に内容を詰めることになる。
 絵に描いた餅だった万博誘致構想は、俄かに現実味を帯びている。一九七〇年の「大阪万博」、九〇年の「国際花と緑の博覧会」に次ぐ「三匹目のドジョウ」を狙ったもので、府民の多くは「また博覧会か、なんとも知恵のないことや」と冷ややかに見ていた。
 当初、開催候補地は万博記念公園や花博記念公園など七カ所が挙げられていたが、事実上は大阪湾に浮かぶ埋立地「夢洲」が最初から決まっていたようなもの。遅れがちな大阪湾岸の開発のきっかけにしたい思惑もある。
 会場建設費やアクセスの建設費を含め、総費用は二千億円程度と見込まれている。メーン会場への交通機関は、市営地下鉄中央線の延伸に加え、神戸や関空からの海上ルートも考えられている。
 しかし実は、「松井知事は万博を契機に関西全体の交通インフラ整備を構想しているのではないか」(在阪記者)とみら・・・