地方創生は「弱い者いじめ」だ
金井利之 (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
2016年11月号
―東京五輪の費用や築地市場の豊洲移転問題で、地方自治体の浪費、職員のモラルを問う事件が続いています。
金井 都庁を含め自治体職員にはもちろん、優秀な人はいる。ただ、五輪のような大事業があると、政治家が利権を膨らませ、業者もそれに群がって、費用をどんどん増やす。自治体職員は本来これを諫めるべき立場だが、現実には政治家や首長に逆らえない。中には自分も懐を肥やす者もいるだろう。
都庁は歳入規模が桁違いで欠損処理もしやすいので、ごまかしの規模が大きくなる。鈴木俊一元知事の臨海副都心や、石原慎太郎知事時代の新銀行東京のように、大規模プロジェクトが巨額の赤字を出した例は過去に多い。また、長野冬季五輪の時は、会計帳簿が消えた。不正や浪費自体は連綿と続いてきた。
―富山市議会の議員が領収書をごまかした事件も発覚しました。
金井 確かにひどいが、領収書偽造や水増しは、世間一・・・