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経済

電通「異常事態」の真因

不祥事続発「王者」が抱える病魔

2016年11月号

 不祥事が発覚すると、企業の地金が露わになる。
 ネット広告費不正請求と、自殺した元社員の過労死認定―。九月下旬から立て続けに問題が表沙汰になっている大手広告代理店「電通」の対応は、「最低の部類」(同社社員)だ。
 日ごろクライアント企業に対してマーケティングだなんだと偉そうに説教を垂れながら、いざ自らに降りかかってくると、お粗末な対応に終始している。五十代のある社員が語る。
「うちは攻め一辺倒の会社で、攻められることに慣れていない。特に自殺問題でこれだけ攻撃されるとは想定しておらず、弱さを露呈してしまった」
 シェア二五%を誇り国内では敵無しの電通だが、その内情は意外に脆い。

グローバル化で「水太り」

 電通は表向き、矢継ぎ早に対応している。
 自殺問題を受けて、十月十七日には人事局長名で「勤務管理の運用変更について」という書面を全社に通知した。この文書では、会社と労働組合が結んだ残業規定(三六協定)について、十一月一日から時間外労働時間を法定外月間四十五時・・・