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連載

西風 426

「大阪市政」がようやく前進

2016年11月号

 東京で小池百合子知事が活躍する陰で、およそ一年前の選挙で当選した吉村洋文・大阪市長がしたたかさを見せている。
 十年以上議論が続いていた大阪市営地下鉄の民営化がようやく実現する。過去二度の民営化提案に反対していた自民党大阪市議団が条件付きながら賛成に回る意向を表明し、ようやく計画が日の目を見そうになっているのだ。
 市営地下鉄はニュートラム(南港ポートタウン線)を含む九路線約百四十キロメートルが市内の隅々まで張り巡らされ、一日約三百五万人が利用している。この民営化は、橋下徹前市長の後を継いだ吉村氏にとって主要事業の一つ。
 自民党は橋下時代に二度提案された民営化案に対し「赤字路線が廃止されるかもしれない」と反対。二度とも否決された。
 今年二月に提案された民営化案に対し、維新(三十七人)と公明(十九人)は賛成の意向を示した。しかし、公営事業廃止のためには市議会定員八十六人の三分の二(五十八人)の賛成が必要で、自民党の二十人がカギを握る。
 自民は今年八月末に▽地下鉄今里筋線延伸のための基金創設▽新会社と市(議会含む)との協議体の設置▽・・・