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汚染で死にゆく「ガンジス川」

地球環境にとっての大きな脅威に

2016年11月号

 インドの大河ガンジス川が瀕死の状態に陥った。深刻な水質汚染に加えて、近年は極度の水不足に陥り、河口のあるバングラデシュでは、海水面上昇が大きな懸念材料だ。モディ首相は「ガンジス川浄化計画」を打ち出し、日本政府も協力を約束しているが、大河をめぐる各種利権に「水マフィア」が群がり、川を救う作業をいよいよ難しくしている。

汚水の七割が未処理のまま流入

 ガンジス川はヒンドゥー教徒にとって「聖なるガンジス」であり、聖地ヴァラナシ(ベナレス)は年中、巡礼者や観光客でにぎわう。「ガンジスで死ぬ」ことは、ヒンドゥー教徒にとって特別な意味を持つとされている。
 このため、ガンジスは太古から、「死の川」だった。ヴァラナシはもちろん、川沿いの各地に火葬場、葬儀屋がひしめき、「死」はこの川の一大産業だ。
 ところが昨年一月、ヴァラナシから約四百キロ上流のウナオという村で、異様な事件が起こった。百を超える人間の遺体が、この村の川に漂流してきたりして、たまったのだ。そこに多数のハゲタカ、カラス、野良犬が群がって、・・・