米社会を揺るがす 「怒れる若者」
大政党を嫌悪する「格差・貧困世代」
2016年11月号
「みんな、絶対に投票をしようよ! 有権者登録をしなきゃ、だめだよ」
米大統領選の終盤。十九歳の人気女優クロエ・モレッツが、ミシガン州の大学キャンパスに乗り込んで、ヒラリー・クリントン民主党候補への支持を訴えた。別の日には、黒人ラッパー、ジェイ・Zが「ヒラリー支援」コンサートを行うなど、人気俳優や歌手、タレントが連日、同候補の応援に駆り出されている。
ドナルド・トランプ共和党候補を追い詰めたはずのクリントン候補が、焦っている。
九月半ばのNBCニュース世論調査で、十九~三十四歳の有権者の四四%が、「クリントンでもトランプでもない、第三党候補に投票する」と答えたのだ。リバタリアン党のゲーリー・ジョンソン候補の支持率は二九%で、三一%のクリントン氏とはわずか二ポイント差。緑の党のジル・スタイン候補も一六%の支持を集めた。
ほかの調査でも、この世代の「第三党候補への投票」は、一貫して一五%以上である。ユタ州では、別の第三党候補で四十歳の元中央情報局(CIA)職員、エヴァン・マクマリン氏が全有権者の三〇%から支持され、同州で選挙人を獲得・・・