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社会・文化

東大医学部で「STAP級」論文不正

税金が消えた「糖尿病研究」の暗部

2016年10月号

 わが国最高学府である東京大学の医学部を舞台に、世界の医学界を震撼させかねない重大な疑惑の研究が浮上した。主役は「東大医学部のスター」とも呼ばれる門脇孝・東大糖尿病・代謝内科教授。日本内科学会や日本糖尿病学会の理事長で、東大病院長も務めた重鎮だ。
 疑惑の的は、脂肪細胞から分泌される「アディポネクチン」と呼ばれるたんぱく質の研究開発。脂肪を燃焼させる働きがあるとされ「運動せずとも痩せる夢の新薬候補」と絶賛する研究者もいる。ところが、いまだに市販はおろか、創薬にさえ至っていない。その理由は、アディポネクチンを巡る門脇氏らの論文に少なからぬ改竄・捏造疑惑が取りざたされているからだ。
 天からカネが降ってくるように、国から十億円近くもの科学研究費を手中に収める一方で、研究成果がデタラメならば、STAP細胞事件よりもはるかに罪深い。日本の医学界の信頼を失墜させる懸念から、東大も本格的な調査を行う方針を表明した。堆積した疑惑の膿は摘出されるのか。
 門脇氏が関わった「アディポネクチン」に関する論文は八十四本あり、このうち四つは二〇〇三年と一三年に世界的な科学雑誌「ネ・・・