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連載

日本の科学アラカルト74

電子機器小型化に寄与 有機半導体デバイスの開発

2016年10月号


 半導体―。電気を通す金属に代表される「導体」と、ほとんど通さない「絶縁体」の中間の性質を持つ物質のことだ。温度によって抵抗が変わり、その性質を使って、身の回りにある様々な電子機器に大量に使われていることはご存じの通り。
 半導体といえば無機物、という常識を変えたのは、実は日本の研究者だった。東京大学の井口洋夫氏、赤松秀雄氏らが、導電性を持つ有機化合物を発見し、発表したのが一九五〇年代のことだった。
 また、二〇〇〇年にノーベル化学賞の栄冠に輝いた白川英樹氏は、七〇年代の「導電性高分子の発見と開発」が評価されたことが受賞理由だった。つまり、有機半導体の分野は「日本のお家芸」ともいえるのだ。
 有機半導体というと、「有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)」がよく知られている。スマートフォンの画面などに使われるこのデバイスは今も進化を遂げている。現在使われている有機ELの原型を開発したのは米国人だった。しかし、EL以外にも有機半導体はあり、日本の研究者によって最先端の開発競争が行われている。
 今年一月、NEDO(新エネルギー・産業技術総・・・