ニューヨーク・マンハッタン島の「ＪＰモルガン・チェース」本社屋は、周囲に国連本部やタイムズ・スクエアがあり、「米国の富」を肌で感じられる一角にある。
　ビルの一室に不定期に集まる、六人の男女がいる。この人たちが支配する富の総額は、日本とドイツ、英国、フランスの四カ国の国内総生産（ＧＤＰ）の合計を遥かにしのぐ。米国や欧州連合（ＥＵ）のＧＤＰにも迫る金額が、これだけの少数に握られている。
　最も有名なのは、投資家のウォーレン・バフェット氏。ＪＰモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者（ＣＥＯ）も高名な銀行家だが、「フィデリティのアビゲイル・ジョンソン」となると、どれくらいの読者がご存知だろうか。
　バフェット、ダイモン両氏を除く四人は、近年急速な勢いで運用資産を増やしている「アセット・マネジメント」四社の経営者だ。最大手「ブラックロック」社の資産運用残高は昨年末、四兆七千七百億ドルに達し、日本のＧＤＰを上回った。フィデリティ、ヴァンガード、キャピタル・グループもそれぞれ、欧州の大国一つ分の資産を運用する。ＪＰモルガンのアセット・マネジメント部門は、運用残・・・