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経済

《クローズ・アップ》青柳俊彦(JR九州社長)

大型上場でも「視界不良」の船出

2016年10月号

 十月二十五日に念願の上場を果たす九州旅客鉄道(JR九州)だが、「前途洋々」というわけではない。この間、大胆な改革によって上場に漕ぎ着けたが、本業である鉄道事業に不安要素が残っている。その舵を握るのが青柳俊彦社長だ。
 かつての鉄道中心だった時代とは輸送体系が大きく変化し、九州の玄関口は各地の空港となっている。福岡や大分、佐賀などにショートカットする高速道路網ができたことで、JR九州を取り巻く経営環境は悪化し続けてきた。
 民営化後の初代社長、石井幸孝氏は、九州以外から来る観光客にターゲットを絞り新たな需要を発掘した。博多~釜山の高速船「ビートル」の運航開始に尽力し、国鉄時代からの脱却を図り、現在に繫がる収益構造の礎を築いた。
 石井氏の路線を発展させたのが三代目の石原進氏(現相談役)だ。九州新幹線の開業のために奔走し、地元では「新幹線を通した経営者」と認識されている。政財界関係者が石原氏を囲む「すすむ会」と称する会合もあることから、「中興の祖」と評す向きもある。
 石井氏の後任者、唐池恒二氏(現会長)は富裕層にターゲットを絞ったクルーズトレイン・・・