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政治

《罪深きはこの官僚》藤本武士( 資源エネルギー庁 ガス市場整備室長)

「接待攻勢」受け ガス業界と癒着

2016年10月号


「前の横島と比べて、今度のやつはいい。話がわかる」。ガス業界がそう絶賛するのは、経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部ガス市場整備室長の藤本武士だ。藤本は二〇一五年七月三十一日にガス市場整備課長に就任。電力・ガス取引監視等委員会にガス市場整備課の機能が一部移されたため、同課はガス市場整備室に改組されたが、室長はそのまま藤本が務めることになった。
 藤本の前のガス課長を務めた横島直彦に、ガス業界はさんざんいじめられた。遺根を残しているのは導管分離だ。横島はガスに電力並みの改革を要求し、全面自由化と導管分離を主導。これに自民党の〝ガス族〟、山口泰明が激怒、横島は飛ばされた。その後任が藤本。藤本は横島がつくった改革案を次々と修正、ガス業界に有利な方向へ見事に導いた。
「そもそも藤本はエネルギーの人間じゃない。最初は、なんでガス課長に、と思った」と違和感を口にするのは当の資源エネルギー庁関係者だ。藤本は今回が初の資源エネルギー庁勤務。前職が通商政策局国際経済課長だったことからもわかるように、藤本の本職は通政だ。それがドメスティック中のドメスティックであるガス・・・