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社会・文化

厚労省に新たな 「不正入札」疑惑

大手監査法人との「濃密なる関係」

2016年9月号

 政府が築き上げたIT国家戦略の一端から、制度の骨幹を揺るがしかねないきな臭い噂が滲み出てきている。IT戦略のキーパーソンとして各省庁などに配置された外部の専門家と、その出身母体との濃密なまでの関係がその根源だ。
 情報化統括責任者補佐官―。一般には聞き慣れないこの職責が導入されたのは二〇〇三年七月のことである。情報化戦略の重要性が加速度的に増す社会情勢を受けて、国家レベルでも電子政府の構築を推し進めるとして策定されたのが「電子政府構築計画」。これを推進するための要職の一つとして導入されたのが情報化統括責任者補佐官で、通称CIO補佐官と呼ばれる。以後、各省庁など公的機関には、内部の統括責任者の下に、外部から選任されたこのCIO補佐官が配置されていく。
 役割は文字通り、情報化戦略のサポートである。〇三年の各府省情報化統括責任者会議の決定内容でもCIO補佐官の任務を「各府省内の業務・システムの分析・評価、最適化計画の策定に対する支援、助言を行う」と定めて、その人材の要件について「業務分析手法、情報システム技術及び情報セキュリティに関する専門的な知識・経験を有し、独立性・・・