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政治

《政界スキャン》

安倍は象徴天皇制をどうする気か

2016年9月号

 天皇のビデオ出演は、予想よりはるかに重く大きな問いを投げかけた。これは、相当の読解を要する政治声明である。
「お気持ち」(英訳「メッセージ」)
 という柔らかな表題(宮内庁とNHKの合作?)にとらわれると、敬愛すべき老舗の老当主が、遠慮がちに隠居を切り出した人情話のようにも聞こえる。
「おいたわしい。自然な当たり前のことだ。政府は何をしている。早く何とかしてあげて」
 世論の八割超が同情したのは、高齢化社会のどの家族も向き合う問題として、素朴に共感したからだ。社会保障制度に思わぬ見落としがあったかのように。
 しかし、その対策として、なぜ公務軽減や摂政ではだめで、譲位しかないのか、政治手続きに踏み込んだ言い分をよく聞いてみれば、一番の言いたいことは、
「政治は、これからの象徴天皇制をどうする気か」
 というお尋ねにあった。
 象徴天皇制は、憲法第一章に定められた「戦後の国体」そのものである。「国がら」や「国のかたち」と言い換えてもいい。
 ポツダム宣言受諾は、「これでは国体が護持されない」と、本・・・