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政治

《土着権力の研究》三重県  日本土建(田村家)

イオン岡田家のライバル一族

2016年9月号

 三重県で権勢を誇る建設会社「日本土建」とその創業家である田村家は、県内の同業者である「水谷建設」と共に自民党の有力な支持母体であった。しかし水谷建設は、関西国際空港や中部国際空港の工事受注を狙った暴力団幹部や国会議員秘書らへの裏金支出が発覚、法人税法違反で水谷功・元会長に実刑判決が下ったことなどが重なり業績が悪化、二〇一一年に会社更生法適用となってしまった。
 それ以降、地元建設業界で日本土建の存在感が相対的に増し「県内ナンバーワン企業」と呼ばれることも珍しくなく、現在の三重県建設業協会の名誉会長は、田村憲司・日本土建会長が務めている。
県連トップに上りつめた
 日本土建の経営者一族である田村家は、三代にわたって政治家を国会に送り込んできた。
 初代の田村稔・元衆院議員は弁護士から三重県議を経て一九四二年に初当選。その二年後、津市で日本土建の前身となる興亜工業が設立された。
 稔氏の息子が、「タムゲン」の愛称で知られた二代目の田村元・元衆院議長だ。中選挙区時代の五五年に、県南の旧三重二区で初当選して以来、九三年まで十四回連続で当選。こ・・・