「生前退位」英女王はまだまだ
ロバート・ハードマン(英王室伝記作家)
2016年8月号
―天皇陛下が「生前退位」の意向を宮内庁に示されていることが明らかになりました。どう評価しますか。
ハードマン 欧州では、ベルギーやオランダで生前退位が慣例化し、スペインでもフアン・カルロス国王が生前退位をした。現代の王室には「職業」としての側面があり、健康面で務められなくなったら、若い世代に交代するのは自然なことだ。
今の日本は成熟・安定しており、仮に生前退位の事態になっても、それは熟慮の末に行われるだろう。国民は陛下に共感、尊敬を抱くにちがいない。
―国際的な影響はありますか。
ハードマン 大きな影響がある。エリザベス女王は九十歳だから、英国でも「他国の例にならったらどうか」という議論が出る。だが、私は女王の生前退位は当面ないと考える。
第一に、英国の女王(王)は、イングランド国教会の中での役割(世俗の長)がある。君主の座につくのは、生涯にわたる契約のようなものだ。
第二に、英国では「退位」・・・
ハードマン 欧州では、ベルギーやオランダで生前退位が慣例化し、スペインでもフアン・カルロス国王が生前退位をした。現代の王室には「職業」としての側面があり、健康面で務められなくなったら、若い世代に交代するのは自然なことだ。
今の日本は成熟・安定しており、仮に生前退位の事態になっても、それは熟慮の末に行われるだろう。国民は陛下に共感、尊敬を抱くにちがいない。
―国際的な影響はありますか。
ハードマン 大きな影響がある。エリザベス女王は九十歳だから、英国でも「他国の例にならったらどうか」という議論が出る。だが、私は女王の生前退位は当面ないと考える。
第一に、英国の女王(王)は、イングランド国教会の中での役割(世俗の長)がある。君主の座につくのは、生涯にわたる契約のようなものだ。
第二に、英国では「退位」・・・