英国のＥＵ離脱が先進国銀行の経営を大きく揺さぶるなかで、中国の銀行にまったく異なる大波が襲いかかろうとしている。不動産や国有企業がらみの不良債権の再拡大、インターネット金融の劇的な台頭による収益基盤の劣化、習近平政権の報酬抑制策による怒濤の人材流出だ。「中国のメガバンク破綻は現実のリスクになってきた」と中国の金融関係者は指摘する。成長率低下で不透明さの増す中国経済に銀行破綻という新たなリスクがぽっかり口を開けた。
不良債権の総額は「百五十兆円」!?
　世界の企業ランキングで先進国のビジネスマンはもちろん中国共産党が最も重視しているのは、米経済誌「フォーチュン」が毎年発表する「グローバル５００」だ。営業収入による上位五百社ランキングの二〇一六年版では中国企業が百十社ランクインし、トップの米国に迫り、五十二社にまで減った日本に大きく水を開けた。中国企業は二位の国家電網（送配電会社）を筆頭に世界上位五社のうち三社を占めた。
　だが、金融関係者は別の角度でこのランキングをみている。中国の銀行の不気味なほどの規模だ。十五位に中国工・・・