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連載

Book Reviewing Globe387

英米「特殊関係」は実在するのか

2016年8月号

 英国のEU離脱は、英米特殊関係をさらに強めるのか、それともその終焉を告げることになるのか。離脱が及ぼす世界政治への戦略的意味合いを考える上で、英米関係のありようは決定的な意味を持つ。
 しかし、英米特殊関係とは一体、何なのか。それは実在するのか。いや、したのか。その淵源である第二次世界大戦の英米共同軍事作戦のありようは、それではどうだったのか。
 英国の軍事史家によるこの本は、一九四二年十一月の北アフリカに始まり、シチリア、イタリア、フランス、ドイツと続くドイツの占領地帯への欧州侵攻作戦(Opera
tion Overlord)に従事した米英の将軍たちの思想と行動を軸に検証していく。
 将軍たちの多くは第一次世界大戦に若き将校として従軍した経験を持っていた。その中には、英米とも同盟国の一環として戦ったという経験も含まれていた。
 ジョージ・マーシャルもその一人である。彼が米陸軍の参謀長に就任したのは一九三九年九月一日の朝。そのわずか二、三時間前、ドイツがポーランドを侵略したとのニュースが世界を駆け巡った。
 アイゼンハワーが・・・