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イラン「核開発継続」の証拠続出

オバマ「外交遺産」は早やご破算

2016年8月号

 イランと米欧など六カ国が結んだ核合意から一年を経て、イランが核開発のみならず、大量破壊兵器開発の野心を持ち続けていることが明らかになった。イランが期待した経済交流も停滞気味で、イラン国内では保守派から、「合意に縛られる必要はない」との強硬論も強まる。オバマ政権下の唯一の中東での外交成果は、空中分解の危険が高まっている。
 七月初旬、ドイツの情報機関「憲法擁護庁」が爆弾報告を発表した。イランが核合意後も、核開発に必要な物資調達を、国際市場で画策しているというのだ。
 憲法擁護庁は昨年一年間の動向を分析した中で、「イランは極秘の手法により、ドイツから武器技術を違法に獲得しようとしている」と結論づけ、国際的な標準から見て「(調達の試みは)かなり量的に高水準である」と評価した。
 この報告に先立って出された、同庁十六支部の地域別調査では、八支部が「イランの違法調達の試みが管内で発覚した」と報告した。中でも、州内に化学大手「BASF」などを抱えるラインラント=プファルツ州支部は、イランが調達しようとした部品・物資は、「原子爆弾、化学兵器、生物兵器に使われる可能性が・・・