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社会・文化

AI「知能爆発」は悪夢か福音か

「人間超え」の是非を巡り議論百出

2016年7月号

 シンギュラリティ―。直訳すれば「特異点」で、昨今世界中で論争が続くのは「技術的特異点(Technological Singularity)」だ。
 今年三月、グーグル傘下ディープマインド社の人工知能(AI)「アルファ碁」が、世界トップクラスの棋士を破ったのは記憶に新しい。ディープラーニング(深層学習)技術の発達によって、「ゲームで試合をする」といった限られた分野で、AIの能力が人間を上回る例が相次いでいる。我々の日常生活の中にもAIはすでに入り込んでおり、今後、クルマの自動運転やIoT、第四次産業革命といった技術は飛躍的に進化し、「AI時代」を迎えることは確実だ。
 AI時代の先に何があるのかを考えるキーワードがシンギュラリティである。定義は正確に定まっていないが、おおむね「人工知能が人間の知能を超える地点」を指すことが多い。この特異点を迎えると、人工知能は人間を必要とせず自律的再帰的に自己を改善するようになり、人工知能が雪だるま式に賢く強力になっていく懸念(知能爆発)もある。その議論の最前線では何が起きているのか。
楽観派が率いる第三次ブーム・・・