ＢＲＥＸＩＴショックにてんてこ舞いの欧州。事後処理に手がつかないうちに、今月八～九日には、ポーランドの首都ワルシャワで、北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）首脳会議を開き、ロシア、ウクライナ問題に取り組まなければならない。米国が対中国に困惑し、英国がマヒ状態の中、ドイツに「大国の責任」を果たすよう求める声はかつてなく強い。
　イェンス・ストルテンベルグＮＡＴＯ事務総長は六月、ポーランドとバルト三国に計四千人規模の「国際大隊」を派遣すると表明した。ドイツはその主力と期待されているが、ナチス時代に侵攻し、軍政を敷いた地域への派兵は、内外に強い抵抗感がある。フォン・デア・ライエンは各国との調整だけでなく、大連立パートナー社会民主党（ＳＰＤ）内の「派兵反対」論にも対処しなければならない。
　彼女の実家アルブレヒト家は北ドイツの豪商の末裔。彼女は一九五八年、ブリュッセル生まれ。父親エルンスト（後にニーダーザクセン州首相）はブリュッセルの欧州委員会本部に勤務していた。叔父ゲオルグは高名な指揮者である。
　ゲッティンゲン大学や英国で経済学を学んだ後、医学に転向。夫のハイコ・フ・・・