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社会・文化

「電力自由化」という壮大な詐欺

消費者が大損する腹黒い「カラクリ」

2016年7月号


 電力小売り全面自由化の封切りから、はや三カ月がたった。新規参入者の数はおよそ三百社に達し、契約先の切り替え件数も百万を超えた。新たな電力会社から電気を購入することになった消費者の中には、電気代が下がったと喜んでいる向きも多いだろう。だが、それは単なるぬか喜びかもしれない。タダより安いものはないという格言そのままに、電力小売り全面自由化ほど高く付くものはないからだ。電気代には、普段、消費者が目にするものとは全く異なる「裏の請求書」が存在する。そこには、契約切り替えのメリットを丸のみしてもまだ足りないほどの、巨額の金額が記載されている。
 電力小売り全面自由化の現状は、契約切り替えの中心的機能を担う電力広域的運営推進機関が毎週発表している。同機関によれば、六月十日時点の切り替え申込件数は約百十一万件だった。百万件という数字にはそれなりのインパクトがあるが、全世帯に占める割合はほんの二%程度に過ぎない。新規参入大手は「少なすぎる。国は焦っているはずだ」と冷やかす。契約切り替え率をもってすれば、電力小売り全面自由化は明確に失敗といえるだろう。
消費者は延々とツケを払う・・・