皇室の風 95
「平成のコメ騒動」
岩井 克己
2016年7月号
九重の「オク」から、ごくまれに風に乗って漂ってくる情報やメッセージの「花びら」のなかには、何年も経ってから届くものもある。
平成五年、全国的な冷夏による深刻なコメ不足で、タイ米の緊急輸入でしのぎ「平成のコメ騒動」とも呼ばれた時のことだ。
巷はタイ米を食べるかどうかでもちきりで、皇室記者たちの関心も天皇・皇后は食べているのかどうかに集まった。宮内庁の「オモテ」は「両陛下は普段から政府米を召し上がっている。だからタイ米も召し上がっておられる」(総務課)と明らかにし、多くのメディアが報道した。
「タイ米はピラフにするとおいしいのよね」と皇后が語ったという「花びら」が舞い込んできたので、筆者も長行の記事にした。「いい話だ」と思ったのだ。
ところが七、八年後に思わぬ「二枚目」の花びらが舞い込んだ。「オク」の元側近から「実は当時、皇后さまは『あのような発表はしてほしくなかった』と悩んでおられた」と聞かされたのである。
全国の作況指数は「著しい不良」とされる九〇を大きく下回る七四。とりわけ東北全体は五六にまで下がり、翌年の種もみすら獲れない・・・
平成五年、全国的な冷夏による深刻なコメ不足で、タイ米の緊急輸入でしのぎ「平成のコメ騒動」とも呼ばれた時のことだ。
巷はタイ米を食べるかどうかでもちきりで、皇室記者たちの関心も天皇・皇后は食べているのかどうかに集まった。宮内庁の「オモテ」は「両陛下は普段から政府米を召し上がっている。だからタイ米も召し上がっておられる」(総務課)と明らかにし、多くのメディアが報道した。
「タイ米はピラフにするとおいしいのよね」と皇后が語ったという「花びら」が舞い込んできたので、筆者も長行の記事にした。「いい話だ」と思ったのだ。
ところが七、八年後に思わぬ「二枚目」の花びらが舞い込んだ。「オク」の元側近から「実は当時、皇后さまは『あのような発表はしてほしくなかった』と悩んでおられた」と聞かされたのである。
全国の作況指数は「著しい不良」とされる九〇を大きく下回る七四。とりわけ東北全体は五六にまで下がり、翌年の種もみすら獲れない・・・