太平洋は「米中軍拡競争」の海に
同盟国を巻き込む「火種」が拡散
2016年7月号
米国と中国が太平洋での軍備拡張の新時代を迎えた。中国が猛烈な近代化と人海戦術で、東シナ海と南シナ海での覇権確立を図れば、米国はスマート兵器を次々と開発して中国を脅かし続けている。半年の任期を残すだけのオバマ政権は、対中軍事戦略に関しては一定の道筋をつける方針で、西太平洋を舞台とする、米中両国の軍備拡張競争は、日本や韓国、さらに東南アジア諸国やインドまで巻き込んで、今世紀最大の軍事的懸念材料になっている。
中国潜水艦「封じ込め」を巡る攻防
六月のアジア情勢は、中国艦船の異様な行動に、耳目が集まった。六月九日、十五日、十六日と立て続けに、日本の領海や接続水域を航行して、「何が起きているのか?」と日本全土を驚かせた。折から、日本と米国、インドによる太平洋での軍事演習「マラバール二〇一六」が進行中で、「挑発」「牽制」など、様々な臆測を呼んだ。
だが、中国艦船には当初から目的があったようだ。
「中国側が何よりも心配しているのが、日米の潜水艦探査能力であるのは間違いない。日米が中国近海に仕掛けた監視網に関し・・・
中国潜水艦「封じ込め」を巡る攻防
六月のアジア情勢は、中国艦船の異様な行動に、耳目が集まった。六月九日、十五日、十六日と立て続けに、日本の領海や接続水域を航行して、「何が起きているのか?」と日本全土を驚かせた。折から、日本と米国、インドによる太平洋での軍事演習「マラバール二〇一六」が進行中で、「挑発」「牽制」など、様々な臆測を呼んだ。
だが、中国艦船には当初から目的があったようだ。
「中国側が何よりも心配しているのが、日米の潜水艦探査能力であるのは間違いない。日米が中国近海に仕掛けた監視網に関し・・・