三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

「ビッグデータ」が変えた米国選挙

次期大統領は「サイバー戦」で決まる

2016年7月号

「空前の大激戦」「米史上最低の泥仕合」といった事前予想がかまびすしい今年の米大統領選。だが、勝敗を決めるのは、共和党のドナルド・トランプ候補と民主党のヒラリー・クリントン前国務長官の間の舌戦ではない。ビッグデータを駆使する、特殊な政治工学会社が、次期大統領が誰かを決めるカギを握っているのだ。
選挙大国ならではの商売
 シカゴの「ウェストループ」地区は、普通の観光客が足を踏み入れる場所ではない。二十世紀には、中西部の農業地帯から運ばれた家畜の精肉工場が密集し、移民労働者であふれていた。
 それが近年、「シカゴで一番のホットスポット」となったのは、工場がなくなった広大な空間に、ハイテク関連の新興企業が移り住み、新たな高級住宅街が再開発されたためだ。今やグーグルやツイッターの現地支社が進出する。
 その一角に事務所を構えるのが、政治データ分析を専門にする「シビス・アナリティックス」。バラク・オバマ大統領が二〇一二年に再選を果たした時の、影の選挙対策本部の中心メンバーが集まって、「政治データを解析して、候補者に売る」サー・・・