三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

連載

日本の科学アラカルト

いまだ入り口の廃炉作業  鍵握るロボット開発

2016年4月号

 東日本大震災とそれに続いた福島第一原子力発電所の事故から丸五年が経過した。津波による甚大な被害が出た宮城県、岩手県では復興に向けて少しずつ前進しながら、課題も明らかになってきている。一方で、「被災三県」と称されながら、原発事故の爪痕が深く残る福島県では様相が異なる。避難指示区域、帰還困難区域の変更、解除は徐々に進んでいるものの、原発周辺の土地には当時はなかった汚水タンクが林立し、異様な光景が広がっている。
 メルトダウンした原発の処理について日本の技術は追いついていない。これまでに大規模なものでは、米スリーマイル島、旧ソ連チェルノブイリの知識はあるが、福島ではいまだに模索が続いている。
 事故発生直後から、廃炉にはロボットが活用されることは予想されていた。経済産業省や東京電力はもちろん、日本学術会議など研究者もこれにあたることが宣言された。言うまでもなく、日本のロボット技術は世界トップレベル。産業用ロボットの世界シェアではファナックなどを中心に、世界で圧倒的な地位を築いており、廃炉という困難を前に、日本のロボット技術の真の力が試されている。
 福島第一原・・・