ブリュッセルのテロ事件後、ドイツ政治家の最初のメッセージはやはり、この人だった。「テロリストは絶対に勝てない」。ドイツの情報機関「連邦情報局（ＢＮＤ）」を監督する大臣ながら、独政界きっての「つぶやき魔（ツイッター）」なので、何かにつけて黙ってはいられない。ベルリンの記者団にとって、第一報を作るのに非常に貴重な政治家なのだ。
　肩書は「首相府長官（官房長官）」だが、ここ数年、メルケル独首相がユーロ危機、ウクライナ紛争、難民問題とヨーロッパの諸問題の中心に身を置いていったことで、アルトマイヤーの職責に、「経済調整」「難民問題政策調整」「ＢＮＤ監督」などの職掌が積み重なっていった。最近では「特務担当大臣」という、特別な肩書が加わり、ドイツ官僚機構全般に何でも命令を下せる権限も得た。今では、この人自体が「動く危機管理室」の状態だ。
　しかも、でっぷりした巨体とメガネは、小柄な女主人の脇にいると否応なく目立つ。講演する時には、「ドイツ政府で、一番重要ではありませんが、一番重たい（ドイツ語では二文字違い）閣僚です」と切り出すのが決まり文句。「愛嬌たっぷりなので、何度聞いていて・・・